先月12月15日第1例目の新型コロナ感染者が発生し、12月30日に一挙に4例発症してこの間の合計9例となり、認知症病棟におけるクラスターが発生しました。その後も4例の発症が見られ、収束まで13例の感染が確認されました。
 病院全体を外界から隔離し、さらに感染病棟を完全隔離してレッドゾーン域として対処し、コロナとの本格的な戦いが始まりました。
 最初の症例が12月15日、最終症例の発症が1月2日。この間の18日で合計13例(職員7名、患者6名)となり、全患者・職員316名の4%となりました。ただ13例全例が1つの病棟内の発症で、幸い他の3病棟への波及は抑えられました。
 この間に施行したPCR検査は1288回となり、陽性13例で、100回検査して1例の検出で、1%の陽性率でした。また3例目以降は3回目、4回目で初めてPCR陽性が出てきたのも今回の特徴でした。
 1月になって週1回、認知症病棟内でPCR検査を3回施行し、いずれも全員陰性で1月2日の感染者が最終となり、その28日後の1月29日クラスター収束宣言を迎え、45日間の長い戦いが終わりました。
 家族への感染が危惧される職員は、病院の準備した宿泊施設から通勤してくれました。職員に1人の脱落者も無く、むしろ徐々に絆を深めていく過程に頭が下がる思いでした。素晴らしい職員に恵まれたことを誇りに思うと共に、彼らが私に教えてくれたもの、それは「人に思いやりの心がある限り、コロナには負けない」とのアドボケイトの気概でした。
 戦い済んで、日が暮れて、今はただ感謝で終える感慨に浸っています。

令和3年1月30日                  加治木記念病院
                             院長 上津原 甲一